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天網恢恢疎而不漏

なぜ犯罪が起きるのか

なぜ犯罪が起きるのか。先日,非常にシンプルな答を思いついた。

 

確実に,

自身の生産力を超過した利得を得られるからである。

 

ひとは,(ルミネエストで買い物をするために?)限られた時間でより多くの利得を得ようと,必死に励むものであるが,普通の方法を使う限りは,おのずと限界に突き当たる

そこで,不動産投資などの,自身の生産力と関係がなく資産が増加する投資スキーム的なものが流行するのであるが,こちらは,生産活動と異なり,リスクが高い。経営だってそうだ。事業は常に失敗の可能性があるし,環境が変化して,経営者の実力と関係なく,事業が立ちゆかなくなることも多い。

ところが,犯罪行為はこの点,リスクが低い。

 

国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究(上)

国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究(上)

 

▲国民の富の総量は,国民のうち,生産的な労働に従事する人の比率によって決まる。ある年に国民の生活に充てることができる財貨の量は,その年に生産された生産物の総量から,固定資産の維持や生産に充てられる量と,非生産的な労働の維持に充てられる量,および通貨制度の維持に充てられる量を引いた量に,過去に生産されたものが,備蓄または固定資産の形で保存されているところから,必要に応じて取り出して消費した財貨の量を加えたものである……要するに,FX取引みたいに急激には増えないのである

 

より正確には,リスクを管理することができる。すなわち,発覚のリスクが高いときは犯行に及ばなければよいし,リスクが低いとき,得られる利得に比してコストパフォーマンスがよいときは,犯行に及べばよい

この点,残業代不払いなどは,優良案件なのである。前職クララオンラインの提携先であった(スポーツITソリューションという会社を合弁で作っている),あの電通さえ,誰ひとり逮捕されずに,会社が罰金50万円を支払って終わりである。東大卒のエリートひとり潰して,50万円どころじゃない長時間をタダ働きさせて,巨額の配当と役員報酬を手に入れ,バレた場合に限って50万円であれば,これほど素晴らしいビジネスはない。

もちろん,中には,利得が低く発覚の恐れが高い犯罪に手を出すことを避けようとしない人もいるが,これは,カボチャの馬車への投資を避けようとしない人がいるのと同じことである。

 

いわゆるギャンブラーというのは,リスクを厭わない人たちである。起業家の一部もそうだ。ところが,犯罪者というのは,貪欲でありながら,臆病であり,しかも公共性を破壊することや,他人を陥れることを厭わない人々であるということができる。ブラック企業と団体交渉をしたときに,当の社長が,何度呼びかけても,どんなに必要でも,隠れ回って出て来ないというケースを,想起せざるを得ない。

しかし,こんな卑劣な人々が,市場社会には,はびこっている。先日も,ソフトバンク10兆円ファンドのパートナーであるサウジアラビアの皇太子が,実は殺人事件に関与していたということが,被害者が最後に仕掛けたワナのために明るみに出た。桁違いのカネがあるところ,常に,暴力や詐欺,不正がある。

 

結局,犯罪の世界,ヤミの世界に足を踏み入れるか否かは,足るを知るか否かであるように思える。べつに仙人の生活をしろと言っているのではなく,自らの感覚によって知覚できる限度を富の目標とするならば,最悪でも,与沢翼みたいにひどいデブになるだけで済む。 

しかし,他人と比較し,自慢して見せびらかすための富を目的としてしまうと,登り詰めれば登り詰めるほど,犯罪の世界に近づいていく。例の孫正義と張り合おうものなら,殺人以上の何かをしなければならないかも知れない。

犯罪者を許さないこと,良識ある国民の連帯によってこれを排除すること,関わらないようにすること,いずれも大切だが,何よりも,虚栄心に囚われないようにすることに努めたい。

 

人生を快適なものにするすべてのもの――それを運命はゆたかに彼に与えたが――を誇ることもなく、同時に弁解がましくもなく利用し、そういうものがある時にはなんら技巧を弄することもなくたのしみ、無い時には、別に欲しいとも思わなかったこと

 

 

 (紙原稿から書き起こし)