※全然お勧めしません。次回記事の下準備と,自分用のメモ書きとして。
1・抽象的な議論に対して個別具体的な例外を持ち出し,個別具体的な例外が解決されるまで,抽象的な議論を拒む
例:
「ネコは夜行性であるかどうか」という議論に対して:
A:ネコは夜行性であるという資料は手元にありますが,これに対する反証はありますか。
B:そんなことより,ここに一匹のネコが歩いています。ネコが夜行性であると言うならば,なぜこのネコは今歩いているのでしょう。
A:いえ,今はそのネコの話ではなくて……
B:いやいや,これは大問題です。このネコの問題が解決されない限りは,ネコが夜行性であるかどうかを検討しても意味がありません。ネコが夜行性であると主張するならば,なぜこのネコが昼間なのに歩いているのか,説明してください。
夜行性のネコだってたたき起こせば昼間から歩き回るのですが,このように例外を利用すれば,議論をストライキできます。この場合,「夜行性である」の定義を明確にすれば膠着を打破できますが,多くの人は突然議論の場に引きずり出されて,そこまで頭が回りません。
2・相手がある主張をする動機や目的が不当であるとの疑いを提起し,主張そのものの当否に関する議論を回避する
A:このように,過去10年間の統計データによれば,原子力発電は水力発電よりもコストパフォーマンスに優れるとの結論が得られます。ご反論はありますか。
B:待ってください。これは,どちらがコストパフォーマンスに優れているかという問題ではなく,原子力発電を推進したいというあなたの動機がどこにあるかという問題です。当方の調査によれば,あなたは,原子力発電所の建設計画地に50坪の土地をお持ちです。
A:その土地はそうかもしれませんが,水力発電が効率的であるという根拠を示してもらえませんか。
B:ほら,やっぱり持っているじゃないですか。つまり,あなたが原子力発電のほうがコストパフォーマンスに優れると主張するのは,根拠があるからではなく,その方が,あなたの儲けになるからではありませんか。
この場合,Aさんが原子力発電のほうがコストパフォーマンスが高いと主張するのは,根拠があってなおかつ自己に有利だからだとみるのが自然ですが,AかBかという選択肢を示されると,ついA∩Bを忘れてしまう人間の性質を利用すれば,このように,水力発電についていっさい調査をすることなく,議論をかわすことができます。