Serve One Another

天網恢恢疎而不漏

自由意思期待説ー創造論と実存主義哲学の統合

この頃、聖書とか神学とかに触れる機会に恵まれている。国際基督教大学という環境に占める部分が大きいのだが、かねてから創造論には十分な説得力がある(ただしその神が聖書の神であるかは留保する)と考えていたので、今までに考えた哲学についての見解と…

「準性的サービス」とビルトイン・アファーマティブアクション

アファーマティブ・アクションという考え方があります。基本的に、社会における資源(人に効用を与える色々なもの)の分配は、自由競争に基づいた合意によって決定されます*1。しかし、特定の競争において、明らかに不利と考えられる属性の人々がいるとき、…

「クリエイティブ労働」と「マニュアル労働」

日本では5684万人の国民が働いていますが、これらの労働者は一般的には ホワイトカラーとブルーカラー フルタイムとパートタイム という分け方で分類されます。しかし、哲学的な観点から労働市場を考えるにあたっては、以下の分け方がより適切ではないかと思…

「労働供給の無限伸縮現象」と低付加価値単身者の受難

このブログの筆者は、左翼でもリベラリストでもありません。ですから、本来であれば格差というものは問題視したくないのですが、様々な種類の労働を経験したところ、ヴェブレンの指摘するように「労働者は疲れすぎているので高尚な生き方などできない」とい…

創造と忍耐について―「訓練」としての勉強必要論

この頃、哲学気取りの投稿が続いていて申し訳なく思う。経済学関連の記事を待望している読者はもう少し待ってほしい。ただいま、個人を生産要素として住居、衣料、食糧などを投入し労働を産出する企業として捉えなおす説をまとめており、目下図面の準備中で…

精神的欲求における合成・長期的期待の誤謬について

さて前回の記事では、すべての生命体は自己保存の原理に基づいて欲求するという前提が真であれば、人間に肉体とは全く別の精神(魂、心)という存在が発見できることを説明した。その上で、肉体的な満足を賢明に追求する倫理的な生を天然資源の消費にすぎない…

自己保存の原理から「精神」の存在まで、演繹の旅

先日Twitterにおいてあらかた書いてしまった感があるが、念のためブログにも書き留めておきたい。以前の考察によって、以下の前提を置くことで精神(=心、魂など)の存在を疏明し、その性質についていくつかの発見を得ることができた。 前提 自己保存の原理あ…

「情報の経済学」と倫理―合成の誤謬、合理的期待の視点から

今日は、いわゆる「善さ」、つまり道徳や美徳と呼ばれ、共同体によってその実践が推奨され、称讃の対象となるような倫理の起源について考察を加えたい*1。 筆者の仮説は、「あらゆる倫理は共同体のおかれた外的環境の中で、長期的にはもっとも合理的な行動原…

出生前診断を利用した「産み分け」の是認による男女平等実現の可能性

あらゆる社会思想は、論者の個人的背景と無縁ではあり得ません。かのジョン・メイナード・ケインズも In the long run we are all dead. (長期的には、我々は皆死んでしまう) と主張し、政府の財政出動による失業対策、経済の安定化を唱えましたが、一方で新…

限界効用理論から考える「承認の独占」について

「限界革命」とは、経済学における効用の捉え方に「限界(margin)」を導入し、古典派から新古典派への進化を可能とした学術上の革命のことです。いつ誰々が何々の論文を、という話は忘れたので下記を参照してください。 さて、この限界革命により、経済学は効…

「女性の社会進出」は「女性の幸福」ではない―職業分配から読み解く男女の幸福の源泉

日本を「ジェンダー平等後進国」として批判するとき、最もよく引用される典拠はWorld Economic Forumによる世界男女格差指数(Global Gender Gap Index)だろう。この指数は、以下の要素を勘案して算出されているという。 経済活動の参加機会 教育機会 政治的…

福田恆存と考える"SEALDs的なもの"への違和感

東京に、再び夏が近づいている。窓の外に見える井の頭公園の木々はしぶしぶと新芽を抱き始め、コートの下に突然感じられる汗が新しい季節の訪れを否応なく感じさせる。世界は中東圏を中心に、かたやテロ、かたや難民で大騒ぎだ。格差社会が行き過ぎたためか…

実存主義に対する共同体の意義、および「価値中立的」なリベラル社会が新自由主義に回収される原因について

うろ覚えだが、聖書にはこんな言葉がある。 あなた方は、神と富とに兼ね仕えることはできない。 両方ともに素晴らしい物に見えても、両者を同時に手に入れることができないという場合は多い。そうしたジレンマのひとつに、個人主義(Atomism)(的なリベラリズ…

「生きづらさ」の問題および共同体からの排除の条件

ジェンダー系の勉強をしている友人と久しぶりに食事をともにしたので、一般的なジェンダー規範からの逸脱、また、それを公にしていることがいかなる不利益を及ぼし、かつそうした不利益をパレート改善*1的に回避するためにはどうすればよいかについて、少し…

新自由主義にまつわる4つの主要問題(初稿)

新自由主義的な経済右派政策に起因する問題を概観するための私用メモです。じきに改稿しますが、いい加減に発表したくなったのでひとまず。乱文をご容赦ください。 1.人口扶養限界 新自由主義においては、人口の増加は3つの理由からおおむね肯定的に評価…

データで見る:コンゴ民主共和国の女性

togetter.com 朝日新聞の三浦英之記者によると、コンゴ民主共和国、とりわけ東部は*「女性にとって世界最悪の場所」*だそうです。上記のウェブサイトに、その悲惨な現状が写真を交えて説明されています。顕著な事実として、 >米公衆衛生研究家が11年に発表…

無秩序に膨張する「暴力」概念に関する考察:ヨハン・ガルトゥング批判

序 本稿は、ヨハン・ガルトゥングの著による『構造的暴力と平和』、そこに収められている4つの論文の中でも「暴力・平和・平和研究」に的を絞って批判するものである。経済学の分野にも足を踏み入れたあと3つの論文――「帝国主義の構造理論」「冷戦・平和・開…

「着せ替え」ができる世界

シリアなどの中東地域からドイツに渡った「難民たち」の第一弾がようやくドイツに到着した、らしい。 www3.nhk.or.jp 有史以来、人類はほぼ民族ごとに国家を形成して、一蓮托生の仲間として歴史を綴ってきたはずが、危機にあってはこうも迅速かつ大量に、祖…

大陸法と英米法、そして小さな政府と大きな政府について

タイトルのとおりだが、大陸法と英米法、そして小さな政府と大きな政府の関係性について突如ひらめいた。 (専門ではないので全く自信がないが)説明すると、大陸法とはドイツを中心に発達した、民主的な議会によって制定された実定法にのみ効力を認め、裁判官…

自由恋愛社会はジェンダー・ロールを強化する

この記事には全面的に改稿された新しい版がありますので、こちらをご参照ください。 serve1another.net (以下アーカイブ) 最近考えたていたのが、なぜ高齢者はより保守的、つまり規範に対して適応的なのか、ということだった。例えば、NHKによる「父親の子育…

自民党憲法改正草案と憲法改正国民投票法の問題点

GES019 5th January, 2015 自民党憲法改正草案と憲法改正国民投票法の問題点 ―安全保障と自由権保障の観点から― 序 2014年12月の衆議院選挙では、下馬評どおり自公政権の与党が過半数を獲得し、野党勢力は共産が躍進した点を除いては特に代わり映えのしない…

「マイノリティ」をどう扱うべきか―鉄棒から考える、平等と配慮と大浴場について―

鉄棒の時間 今日、名古屋大学高等教育センターが作成したこんなウェブサイトを読んだ。 大学教授がマイノリティへ配慮しつつ授業を行うためのハウツーが書かれている。 配慮が必要とされる理由は、マイノリティは差別されていて、常に不快感、あるいは疎外感…

組織の論理―高知西高校から見る教師の行動原理

この記事は、2014年7月26日(土)に執筆したものを再掲載したものです。わずかに文法上の修正を加えています。 久しぶりに、高校時代の話をしたい。小生が卒業した高知西高校は、県下ではいちおう『進学校』として有名で、なるほど高知大学への合格者を2桁は出…

SGH(スーパーグローバルハイスクール)と高知西高校

この記事は2014年3月29日(土)のものを再掲載したものです。わずかに文法上の修正を加えています。 さて、我が母校高知西高校だが、今度のスーパーグローバルハイスクール事業に応募して、見事落選していたようだ。今日はその原因を分析してみたい。 そもそも…

人間の本質と勉強について

(高校生の時分に書いたものに体裁上の改稿を加えたものです) はじめに 「これで、万物はそういうふうに―自分と反対のものから生じることが、十分にわかったわけだね?[1]」 ソクラテスは、二千年もの昔に言い当てていたことだった。寒い冬が過ぎれば夏が顔を…

mixi「足あと」信者たち、怖いです><(過去記事)

最近mixiが足あと機能を廃止してちょっとした騒ぎになっている。足あと機能というのは、自分のコンテンツ(日記、つぶやき、その他)にいつ誰が訪問したか把握できる機能なんだけど、これが最近廃止されて、一週間の(マイミクかコミュニティーからの)訪問者を…