Serve One Another

天網恢恢疎而不漏

現実を現実として受け止める「ちから」

……上の記事を,読んだ。

お世話になっている弁護士屋さんが書いた記事だから読んだのだが,刮目すべきは,次の部分だろう。

私も、かつてある事案で、同様の言い訳を会社からされ、相手に弁護士がついてもその言い分を崩さなかったので、「このままでは差し押さえしますよ」と何度も警告をしたことがあります。ところが、それでも振り込んでこなかったので、仕方なく、あくまでも仕方なく、会社の取引先の債権を差し押さえたことがあります。

実は、賃金債権は証拠がしっかりあれば、いきなり差し押さえができるのですが、意外と知られてないのか、差し押さえられるまでは余裕綽々だった会社も、その代理人も、すぐに泣きを入れてきました。

 ……

弁護士とは思えないレベルの低さである。本当に差し押さえがおこり,赤っ恥をかいて信用を失うまで(客観的には,あそこは倒産したのか,という認識をされるだろう),

労働者の賃金なんか,払わなければそのうち諦める,踏み倒せる,差し押さえなんか起こりっこない(実績のある佐々木亮先生に警告されても)という「現実」に,社長も弁護士屋も,最後まで,しがみついたのである。

タイトルのとおり,「現実を現実として受け止めるちから」には,生来の優劣があるのかもしれない*1

現実ではないもの,事実ではないものを,あくまでも真実であると強弁するタイプのひとは,あまりにも多い。

私自身,以前働いた会社で,こんなことがあった。

社内にいたある弁護士に,子会社の登記を依頼した。そのひとは,快く引き受けてくれた。しかし数ヶ月後,「明日法務局に行く」とまで言っていたのに,なにひとつ,作業をしていなかったことがわかった。

そこで本人を問い詰めてみると,

「私は登記専門官ではない」「人事部長としての仕事*2もあったので忙しかった」

といった弁明に終始し,結局,一切の責任を認めなかったのである。しまいには,当初,登記のタスクを引き受けたことさえ否定し始めた。証拠が残っているのに……

この会社では,このようなケースが,とことん多発した。

都合の悪い現実はとことん否認する。100回否認すれば証拠自体がなくなる。そんな宗教を見ているかのようだった。悪夢だ。

私にとって,現実は,「認識」するものだ。しかし,かれらは,現実に対して,認否を表明できると信じているのだ!

このようなケースは,珍しかったのだろうか?

と思いきや,労働運動にかかわるようになり,様々なケースを,現場でも書面でも見るようになると,むしろ,これが普通なのだと思い知らされた。

採用面接時に,「今の仕事を辞めてきてもらうわけですから,2ヶ月でごめんなさいってことになると,大変なことになってしまいますから。それはありませんよ」とまで言ってのけた会社が,あっさりと,(具体的な非違行為をしたこともない)従業員に,雇止め解雇を通告する。

こうした会社に,団体交渉で不当性を指摘してみると,弁護士共々開き直るケースが,あまりにもおおい。

右の企業では,弁護士が,

「通常な成人男子の判断力があれば,面接時になんと言われようと,(「更新しない場合もある」と記載されている)契約書が絶対優先だと言うことはわかるだろう」

と迫った。

……?

通常な成人男子の感覚では,ない。

しかし,私が直接関与しないケースでも,こうしたパターンが,あまりにも多い。

そのうえ恐ろしいのは,このようなことに,明確なノーを突きつけた場合,遠からず組織から排除されるので,多くの場合,現実ではないものに拘泥する組織には,それを支持する大政翼賛会のようなスタッフが集まり,残るのである。

だから,以前話題になった某引越し会社のようなケースでも,会社があきらかに不当なことをしているのに,内部から声が上がらない。客観的に見れば順応する余地などないようなものに,順応してしまう。

結局,個人的には,ここ1年の間に,このような人々に,現実はこれです,証拠もありますと迫っても,まったく意味がないどころか,非現実主義の人間同士で団結して,反撃してくるということがわかった。

今後はなるべく,現実が現実であるということがわかる,冷静な人々を相手にしていきたいものである。また,私自身が「アッチ側」に回らないよう,気をつけなければなるまい。

 

*1:高い方がいい,高い方が成功するという趣旨ではない

*2:本人が,高い報酬と引換に,すすんで引き受けたものである