Serve One Another

天網恢恢疎而不漏

「危険の提供」としての団体行動権

さて,先般述べた事情によって労働運動に(やむなく)関係する事になったが,これには気付かされる所が多かった。 危険の提供 労働組合は一般に,団体行動権というものを憲法上保証されている。これによって,社前集会(会社の前でナゾの集会が開かれること…

誰がこんな奴にごめんなさいするか

3月初頭のことである。 世間が花見やら桃の節句やらで騒々しい中,私は絶望の日々を送っていた。 上司や同僚が(特に理由がないのに)引き起こした様々な問題。社内政治。突きつけられる無理難題。 私はすっかり打ちのめされ,しかし投げ出すわけには行かな…

職場の「インフルエンサー」と法治主義

ここのところ、個人的な事情から、労働問題について種々詳しく調査している。その結果、労働問題発生の原因と、自分自身の生き方について、多少の発見があったのでまとめてみたい。 労働問題は面白い 労働問題は「面白い」。なぜならば、契約の当事者が期待…

働く喜びについての中間報告

2年ぐらい手掛けていた経営者業(自営業)を、名実ともに手放すことになった。プライベートの場ではないからあまり仔細には書けないのだが、ぶっちゃけ、めっちゃ嬉しい。そもそも、(当時)20歳で「社長」なんて違和感満載で、気持ち悪すぎる。誰かにそう呼…

転売的アプローチと発明的アプローチ

ベンチャーやらスタートアップやら色々うるさい時代における、富の源泉について考えている。 この懐かしい記事では、いわゆる付加価値はどのように定義可能かということについてちょっとだけ考え始めている。面積を最終商品の価値とした時の、レーダーチャー…

人生経営のススメ(2)商社マンと比較してみる

前篇に引き続き、個人の収益性を時間軸で評価する話を続けたい。 企業会計の価値は、それを以て他社との比較に活用できるという点である。いうまでもなく、各社がてんでんばらばらの基準で自分勝手に会計評価をしていれば、投資や融資の判断に利用することが…

「人生経営」のススメ(1)

個人の生計は、企業の経営とほとんど同視することができるし、むしろ、同視するべきである—そう表現すれば、多くの人は驚くだろうか。 しかし、小さいながら会社を経営して一年半になる今、両者の境界線は私にとってますます曖昧になってきている。今回から…

「最悪の青春時代を送る七つの方法」

とても久しぶりに自分の時間が持てたので、少し過去を振り返って反省点をシェアしたい。以前の記事とは少し毛色が異なるが、ぜひ公衆に共有すべき、価値ある失敗集だと思っている。題して、「最悪の青春時代を送る七つの方法」。ご笑覧あれ。 1.ツイッター…

「正義」を手放すことは怒りを手放すこと

最近、一向にブログの更新が滞っている。 もともとは社会正義の存在を信仰して始めたブログなので、社会正義よりも結果、金銭を崇拝する生活に切り替われば更新が難しくなるのは当然のことかもしれない。気がついたら、はてなの契約更新さえも怠っているあり…

続・商品価値を分解する

商業をやってみて気がついたのであるが、事業上購入するものや仕入する商品についても、(消費者ではないのに)消費税は徴収される。ただし、商品を再度販売する場合は購入者から消費税が徴収でき、赤字で販売する*1場合以外は徴収する消費税額の方が多くな…

転売と生産、価値の付加および剥奪

「転売業」という言葉から多くの人が連想するのは、おそらく「せどり」や「ダフ屋」のような、いかにもゴキブリ業といった感じのビジネスかもしれない。 しかし、実際には世間におけるビジネスの大部分が「転売業」にすぎない。ソフトバンク光、NURO光はソフ…

『青年社長』から学ぶ―ワタミはなぜ「ブラック企業」となり、しかも失敗したのか

ワタミの凋落が話題に上って久しい。昨年は110億円を超える経常赤字をマークし、虎の子であった介護事業の売却を余儀なくされた。 今後はファミレス型の総合居酒屋を取りやめ、専門店への改装を進めていく方針ということだ。しかし最新の第一四半期決算でも5…

「可能性のポリティクス」の社会活動論

Abstract 人は自己保存の欲求に従って行動する主体であり、ある財や行為が自らの生存可能性に与える影響を限定合理的に評価して絶えず行動を最適化している。生存可能性は効用そのものであり、それゆえ、個人が生存可能性の一部分を犠牲にして「支払い」を行…

同性婚の不可なるを説く―再生産を巡る報酬的秩序の観点から

Abstract 現在我が国においては、同性愛者であっても養子縁組によって婚姻と同等かそれ以上の実際的なメリットを享受することができる。それでもなお同性婚が要請される理由は、婚姻が単に経済的なメリットをもたらすに留まらず、当事者間に精神的な満足を与…

クリティカル・シンキングってなんだ?―ICUに潜む"ignorance"を検証する

話題を呼んでいるフロリダの銃乱射事件について、国際基督教大学の、とある卒業生がこんな投稿をした。 6月13日(月)15時07分 あまりこんなことを投稿したい訳では無いけど、さすがに日本のメディアのignoranceに我慢できなくなって、、、 Firstly, rest in p…

自由恋愛主義はジェンダー・ロールを強化する(改)―多様な供給と一様な需要

高齢者層ほどジェンダー・ロールをはじめとする伝統的価値観に親和的であり、若者ほどそうではない。この考えはよく普及している割には、その原因を問われる機会に乏しい。たしかに、30年ほど前の日本において高齢者・年配者と言えば「戦前生まれ」「昭和一…

「相対的信仰」の欺瞞とICUにおける学問の理不尽性

※極めてローカルな話題となりますことをお許しください つい先程まで、シンポジウム「宗教間対話による特別シンポジウム 生きる指針 Hidden Compass of Life」を聴講していた。 無神論者であるライアン・ワルド氏が欠席されたのが非常に残念であったが、質疑…

自由意思期待説ー創造論と実存主義哲学の統合

この頃、聖書とか神学とかに触れる機会に恵まれている。国際基督教大学という環境に占める部分が大きいのだが、かねてから創造論には十分な説得力がある(ただしその神が聖書の神であるかは留保する)と考えていたので、今までに考えた哲学についての見解と…

「準性的サービス」とビルトイン・アファーマティブアクション

アファーマティブ・アクションという考え方があります。基本的に、社会における資源(人に効用を与える色々なもの)の分配は、自由競争に基づいた合意によって決定されます*1。しかし、特定の競争において、明らかに不利と考えられる属性の人々がいるとき、…

「クリエイティブ労働」と「マニュアル労働」

日本では5684万人の国民が働いていますが、これらの労働者は一般的には ホワイトカラーとブルーカラー フルタイムとパートタイム という分け方で分類されます。しかし、哲学的な観点から労働市場を考えるにあたっては、以下の分け方がより適切ではないかと思…

「労働供給の無限伸縮現象」と低付加価値単身者の受難

このブログの筆者は、左翼でもリベラリストでもありません。ですから、本来であれば格差というものは問題視したくないのですが、様々な種類の労働を経験したところ、ヴェブレンの指摘するように「労働者は疲れすぎているので高尚な生き方などできない」とい…

創造と忍耐について―「訓練」としての勉強必要論

この頃、哲学気取りの投稿が続いていて申し訳なく思う。経済学関連の記事を待望している読者はもう少し待ってほしい。ただいま、個人を生産要素として住居、衣料、食糧などを投入し労働を産出する企業として捉えなおす説をまとめており、目下図面の準備中で…

精神的欲求における合成・長期的期待の誤謬について

さて前回の記事では、すべての生命体は自己保存の原理に基づいて欲求するという前提が真であれば、人間に肉体とは全く別の精神(魂、心)という存在が発見できることを説明した。その上で、肉体的な満足を賢明に追求する倫理的な生を天然資源の消費にすぎない…

自己保存の原理から「精神」の存在まで、演繹の旅

先日Twitterにおいてあらかた書いてしまった感があるが、念のためブログにも書き留めておきたい。以前の考察によって、以下の前提を置くことで精神(=心、魂など)の存在を疏明し、その性質についていくつかの発見を得ることができた。 前提 自己保存の原理あ…

「情報の経済学」と倫理―合成の誤謬、合理的期待の視点から

今日は、いわゆる「善さ」、つまり道徳や美徳と呼ばれ、共同体によってその実践が推奨され、称讃の対象となるような倫理の起源について考察を加えたい*1。 筆者の仮説は、「あらゆる倫理は共同体のおかれた外的環境の中で、長期的にはもっとも合理的な行動原…

出生前診断を利用した「産み分け」の是認による男女平等実現の可能性

あらゆる社会思想は、論者の個人的背景と無縁ではあり得ません。かのジョン・メイナード・ケインズも In the long run we are all dead. (長期的には、我々は皆死んでしまう) と主張し、政府の財政出動による失業対策、経済の安定化を唱えましたが、一方で新…

限界効用理論から考える「承認の独占」について

「限界革命」とは、経済学における効用の捉え方に「限界(margin)」を導入し、古典派から新古典派への進化を可能とした学術上の革命のことです。いつ誰々が何々の論文を、という話は忘れたので下記を参照してください。 さて、この限界革命により、経済学は効…

「女性の社会進出」は「女性の幸福」ではない―職業分配から読み解く男女の幸福の源泉

日本を「ジェンダー平等後進国」として批判するとき、最もよく引用される典拠はWorld Economic Forumによる世界男女格差指数(Global Gender Gap Index)だろう。この指数は、以下の要素を勘案して算出されているという。 経済活動の参加機会 教育機会 政治的…

福田恆存と考える"SEALDs的なもの"への違和感

東京に、再び夏が近づいている。窓の外に見える井の頭公園の木々はしぶしぶと新芽を抱き始め、コートの下に突然感じられる汗が新しい季節の訪れを否応なく感じさせる。世界は中東圏を中心に、かたやテロ、かたや難民で大騒ぎだ。格差社会が行き過ぎたためか…

実存主義に対する共同体の意義、および「価値中立的」なリベラル社会が新自由主義に回収される原因について

うろ覚えだが、聖書にはこんな言葉がある。 あなた方は、神と富とに兼ね仕えることはできない。 両方ともに素晴らしい物に見えても、両者を同時に手に入れることができないという場合は多い。そうしたジレンマのひとつに、個人主義(Atomism)(的なリベラリズ…